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ストレスと口臭

もしかして、臭っているかな?と人と会ったり話したりするときに気にされている方は多いかと思います。日本歯科医師会が10~70代の男女1万人を対象にした2016年の調査では、自分の口臭が気になったことがある人は80.6%と、およそ8割の人が自分の口臭を気にした経験があるという結果が出ています。
しかし自分の口臭が気になり歯科医院へ行く人は9.4%まで下がり、歯科医院以外に行く人はたったの0.7%しかいませんでした。

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口臭の原因

口臭は直前に食べたものはもちろん、前日に食べたものが影響したり、生活環境が影響したりと原因はさまざまです。どのような原因があるのかをご紹介したいと思います。

病気による口臭

口腔内や全身疾患が原因で起こる口臭です。口臭の多くは、何かしらの病気が原因だと言ってもいいでしょう。過去の研究で歯周病と口臭には高い関係性があることが分かりました。歯周病の特徴である「歯周ポケット」に細菌が住み着いてしまうことから口臭が発生します。細菌の中でも酸素を必要としない嫌気性菌は、代謝の過程で硫化水素やメチルメルカプタンを産生し、これが口臭のもとになります。歯周病と関連性のある糖尿病は、インスリン分泌が低下し、血糖コントロールができなくなると甘酸っぱいアセトン臭などが原因で口臭が起こる場合があります。

また副鼻腔炎の場合、副鼻腔にできた膿が喉に落ちて口臭となったり、胃腸が弱っていると、消化不良により食べ物が胃の中で発酵し、肺からの呼気と共に口臭が起こります。そのほかにも肝機能が低下すると、毒素の分解が十分に行われず、アンモニア臭が発生し口臭が起こります。これらのように病気が原因となる口臭では、病気を治療することで口臭も改善が見込めるため、早めに各専門医に相談されることをお勧めします。

生理的口臭

起床時や空腹時に臭う場合があり、女性であれば生理やその前後の周期でホルモンバランスが崩れることにより口臭が起こることもあります。生理的口臭には日内変動がみられ、食事をしたりすることで、口の中ではさまざまな代謝が行われています。そのため無臭になることはなく、他人が不快に思うような強い臭い出なければあまり神経質にならなくて良いでしょう。

飲食物による口臭

ニンニクやニラ、ネギなどニオイの強いものを食べたり、アルコール摂取や喫煙をすることで、口臭が起こります。これは臭いの元になる成分が、胃の中で消化され、血液が循環することで肺を経由し、呼気とともに発生します。この場合は、口の中をきれいにしていても、臭うことがあります。

ストレスによる口臭

精神的なストレスを受けると、無意識に奥歯を噛み締めてしまい舌の動きが止まります。ストレスを感じると唾液の分泌量が、リラックスしている時と比べ3割ほど減ると言われており、唾液には強い免疫力や、洗浄能力があることから、唾液が減ることで口臭が起こると考えられています。ストレスが原因で起こる口臭を「緊張口臭」と言い、ストレスが原因で起こる口臭は、唾液の分泌を意識して止めないようにすることで解消できます。

心理的口臭

特に口臭があるわけではないが、自分が口臭を発していると「思い込む」口臭を「心理的口臭症」といいます。実際は、口臭などなく、周りの人も気にしていないのに、本人だけが強く意識してしまうことから、それがストレスとなり、本当に口臭が起こるケースもあります。

唾液の働き

唾液は口腔内に分泌される分泌液で、水分だけでなく電解質や酵素などを含みます。唾液の分泌量は平均で1日1リットル~1.5リットルと言われていますが、個人差があり、健康状態や年齢、性別などによっても異なります。

また、「唾液の質」にも個人差があり、唾液緩衝能(口の中の酸を中和する作用)が低いと虫歯になりやすいことがわかっています。唾液の働きはさまざまで、食べ物を飲み込みやすくしたり、味を感じやすくする働きがあります。舌の上には「味蕾(みらい)」という味を感じる器官があり、味物質が唾液に溶けて味を感じられているため、唾液の分泌量が十分でないと、本来の味が感じられないのです。さらに唾液の中には、「アミラーゼ」という消化酵素が含まれており、消化作用の効果や、細菌の働きを抑制する殺菌作用の効果もあります。そのほかにも唾液には、食べカスなどの口の中に残った汚れを洗い流す自浄作用の働きがあり、十分に唾液が分泌されていれば、口の中を清潔に維持できます。細菌が作り出した酸によってエナメル質の成分が溶け出しても、唾液に含まれるミネラルがそれを修復し、元の状態に戻す働きも担っています。

唾液の分泌量を増やすには

唾液にはさまざまな働きがあり、ストレスによる口臭予防までも期待でき、お口の中の健康を守っています。また、食べる、話すといった口腔機能にも大きく影響するため、唾液を分泌することは、口の中の健康、さらには全身の健康につながるのです。ストレスなどの要因を取り除くことも必要になりますが、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促されます。ストレスを感じた時には、噛み応えのある食品をメニューに取り入れたり、キシリトールガムを噛むことも有効でしょう。

また適度な水分補給も有効です。1日の摂取量は1.2リットルが目安と言われていますが、腸の弱い人や下痢になりやすい人は量を少し減らしても良いでしょう。ストレスを感じ、口の中が乾いていると感じたら、口を閉じた状態で「ラ、ラ、ラ、ラ」と舌先をタッピングさせることで唾液の分泌を促すことができます。ストレスが長期にわたって続くと、自律神経が失調し唾液の分泌が抑えられてしまいます。ストレスとうまく付き合っていくためにも、「笑い」を日常生活の中に取り入れる事で、免疫力のアップにつながるようです。

また食生活の変化から、現代人は咀嚼の回数が減っている傾向にあります。早食いや柔らかいものばかり好まず、しっかり噛みごたえのあるものを食べたり、咀嚼回数を意識したりして、唾液の分量を増やすことが大切であると考えます。

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