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矯正歯科治療中の虫歯予防

矯正歯科治療中のお口の中は、矯正装置が装着されていることにより、装置をつけていないときと比較すると汚れやすくなります。

また矯正装置があることで歯磨きもしにくくなってしまい、虫歯になりやすい口内環境が作られやすくなります。「矯正は終わったけど虫歯ができてしまった」ということにならないように、矯正中から丁寧な虫歯予防が大事であると考えます。

Contents

虫歯予防のために

ブラッシング指導

一つは、矯正装置の周りなど、歯磨きにがしにくく、工夫が必要な部分のブラッシング指導を行います。矯正用歯ブラシや音波歯ブラシ「sonicare」を使用する事により、より効果的な歯磨きが期待できます。

歯磨きの方法には二種類あり「バス法」と「スクラビング法」があります。
「バス法」はプラーク(歯垢)が溜まりやすい歯と歯肉の境目や、歯周ポケットの入り口の清掃を重点的に行う方法です。歯肉辺縁部に歯ブラシを45度くらいの角度で当て、ブラシを丁寧に動かします。このバス法はマッサージ効果も得られるため、清掃だけでなく歯周病予防にも効果的です。強く磨くと歯肉を傷つけてしまう恐れがあるので、力を入れすぎず磨くことがポイントです。

「スクラビング法」は歯ブラシの毛先を歯の面にピッタリと垂直に当てた状態磨いていく清掃方法です。細かく小刻みに動かしながら磨いていくのがポイントです。大きく動かしすぎると「横磨き」になってしまうので気をつけましょう。

フッ素の導入

フッ素は歯の表面を固くし、原因菌から排出される酸に歯が解けにくい環境を作ります。フッ素を用いることで、矯正中の虫歯予防効果が高まることが期待できます。

デジタルレントゲン撮影

半年に1回ほどレントゲン撮影による検診を行うことで、歯周病や歯の汚れなど、お口の中の隠れたトラブルも見逃さないよう、定期的に確認することができます。

カリエスリスク検査

実は虫歯は、なりやすい人と、なりにくい人がいます。その虫歯リスクというのは体質によって異なります。そこで自分の虫歯菌の数や唾液などから、虫歯の危険度が高     いか低いかを調べるカリエスリスク検査というのがあります。虫歯の原因と危険度を予めリサーチし、認知しておくことで、それぞれにマッチした矯正治療中の虫歯予防法を個別に提案することができます。

スケーリング

スケーラーという器具を使用し、歯周病や虫歯の原因となる歯石を除去する方法の一つとして、スケーリングと言う方法があります。歯石を除去することにより、歯周病や虫歯の原因を防ぎます。器具は、使用する箇所によってさまざまな形状があり、使い分けられています。

PMTC

PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略でプロによる特殊な歯のクリーニングを意味します。PMTCでは日々のケアではなかなか取り切れない汚れやの着色を除去を行います。日常の歯磨きではなかなか完全には取り去ることのできない強固なバイオフィルムや、歯と歯の間などのプラーク(歯垢)や歯石を、超音波をはじめ、さまざまな器具を使って破壊し、フッ素入りの研磨剤などで除去していきます。フッ化物入りのペーストで歯をコーティングし、再付着を防ぐと共に、再石灰化(カルシウム補給)を促し、歯のエナメル質を強化することで虫歯予防に大きく役立ちます。

また、歯周病や歯肉炎の原因であるプラーク(歯垢)を、歯の表面や歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目にあるポケット状の溝)から徹底的に除去し、歯肉炎の症状を改善します。さらにご自宅での丁寧なブラッシングを続けることによって歯肉が引き締まり、歯周病・歯肉炎の予防にもつながります。

そのほかに審美性の面でもメリットがあり、タバコのヤニや茶しぶ、ステインなど歯の表面に沈着した着色汚れを落とすことができます。よって、歯本来の白さと美しさが戻り、エステ効果も期待できるでしょう。歯の表面がツルツルになるので、さらなる着色汚れを防ぎます。

虫歯の段階

虫歯は進行状態によってC0~C4までの5段階に分け、進行状況を判断します。虫歯は専門用語で「カリエス」といい、段階を表す「C」はカリエスの頭文字を意味しています。

C0は、歯に穴があく前の初期の段階です。フッ素とキシリトールを利用し、歯を再石灰化させることが出来れば、改善していくでしょう。

C1の段階は歯の表面のエナメル質だけが虫歯になった状態をさします。痛みなどはありませんが、放置すればどんどん進行していきます。また、ある程度は虫歯の部分を削って詰める治療が必要となります。

C2の段階は虫歯がエナメル質の下の象牙質にまで侵食した状態です。血管や神経の通っている歯髄には達していないので、そこまで強い痛みは感じないでしょう。しかし、象牙質には知覚があるので、冷たいものや酸っぱいもの、甘いものが染み始めます。虫歯部分を削り、場合によっては型取りをしたりする治療が必要です。

C3の段階は、虫歯を放置したことによって虫歯が神経にまで達し、歯髄炎を起こした状態です。根と歯肉との境目にあるクッション状の組織の歯根膜に炎症が起き、歯根膜炎になるケースもあります。いずれも耐え難いほどの激痛を伴うことが多くなります。この段階に達すると歯を大きく深く削るだけでなく、ほとんどの場合が神経を抜き取ることが必要となってきます。

C4の段階は、神経が完全に死んでしまった状態です。エナメル質は跡形もなく崩壊し、歯髄は壊死してしまうため、痛みなどの自覚症状はC3の段階から軽減します。ここまで進行してしまうと治療は極めて難しく、ほとんどの場合が抜歯を要されます。それだけでなく、歯髄に達していた虫歯菌が血管を通って他の組織に達し、心臓病や腎臓病を引き起こすケースも考えられます。

矯正歯科治療中は、口内に矯正装置が入るため、どうしても通常より歯磨きはしにくくなり、また虫歯や磨き残しも見つけづらくなります。

矯正治療中に虫歯になってしまうと、費用がかかるだけでなく、矯正治療にも影響を及ぼします。そうならないためには、虫歯の予防が大切です。歯の表面の色が濁ったように感じたり、わずかな穴でも虫歯を疑って、医師へ相談してみることをお勧めします。

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