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歯列矯正で抜歯をする理由

歯列矯正を決意し、治療が始まると抜歯を余儀なくされるケースも珍しくありません。歯並びは整えたいけど、健康な歯を抜くということに抵抗がある方も多いはず。一体どのような場合に抜歯が行われるのか、また、抜歯をするとどうなるのかについてご紹介します。

歯列矯正で抜歯をする理由

健康な歯を抜き、歯並びを整える大きな理由は、全体的なバランスから見て理想的な歯並びにするために行われます。

日本人の骨格は元々顎が小さく、さらに現代人は柔らかい食べ物を好む傾向にあり、昔よりさらに顎が小さくなっていると言われています。顎が小さいために、歯が横一列にキレイに並ぶスペースがないため、歯が無理に生えようとして前方や後方にねじれて生えてしまい、叢生(そうせい)と呼ばれるデコボコした歯並びになります。

例を挙げると、10人掛けの椅子に11人座らなければならない状況で、キレイに並んで座るには一人削らなければなりません。このような状況で歯を一列に並べるためのスペースを確保するために抜歯が行われるのが一番多い理由です。歯が移動するスペースがないまま無理に移動すると、歯が矯正前の状態に戻ってしまう「後戻り」が起こるリスクも大きくなり、大きく重なった歯や出っ歯などを、歯を抜かずに無理に一列に並べようとすると、口元全体が盛り上がってしまう俗に言う「ゴリラ顔」になる可能性も大いにあります。抜歯をすることで歯列を無理なく引っ込め、ゴリラ顔を防ぐことができます。

歯列全体を大きく後方に移動することで、前歯にスペースが確保できれば、抜歯をしない矯正も可能ですが、奥歯を支点にして歯列全体を引っ張ることになるので、反対に奥歯が前に引っ張られ前方に倒れてしまうリスクもあり、このようなリスクを避けるために抜歯が行われます。

歯列矯正で抜歯をするメリット・デメリット

メリット

抜歯を行うことによって顎に充分なスペースが作られ、治療の際に歯が移動しやすくなり、無理のない矯正治療をすることが出来るようになります。重複しますが、スペースがないまま無理に歯を移動させてしまうと、歯列自体が盛り上がってしまい、口を閉じたときに口元が盛り上がってしまう「ゴリラ顔」になってしまうことがありますが、抜歯をすることで無理なく歯が並ぶため、口元が盛り上がる心配もありません。

また、非抜歯で無理やり治療をすると治療期間や保定期間が長く必要になり、歯茎も弱ってしまう事がありますが、抜歯すると治療期間が短縮できるのはもちろん、歯並びと顎のバランスが整うことでスッキリとした印象に変化し、審美的に良くなり、矯正後も歯列が乱れにくく美しい状態をキープすることが出来ます。非抜歯では対応が難しい症例も多くありますが、抜歯を選択することで多くの症例に対応する事が可能になるなどのメリットがあります。

デメリット

抜歯の最も大きなデメリットは、健康な歯を失ってしまうことでしょう。抜いても歯の全体の機能的に支障が出ないと判断した歯を抜歯しますが、必要がなければ歯を抜かないに越したことはありません。

抜歯をした歯槽骨(歯を支える骨)は痩せてしまい、抜いたまま放置すれば、そこに両隣の歯が倒れ込んで歯列を乱してしまいます。矯正治療では、このスペースを埋めるように歯を移動させるため、歯列を乱すような心配はありませんが、抜歯をした部分の骨が痩せる可能性が考えられます。また抜歯するのは1本だけでなく、状況によっては2~4本抜くケースもあり、抜歯する本数が多ければ多いほど、食べ物を噛む力も弱まってしまい、他の歯ににかかる負担が大きくなります。

抜歯は治療期間を短縮するメリットがあるものですが、抜歯の本数が多かったり、空いたスペースが大きい場合にはその分歯の移動距離が長くなり、逆に治療期間が長引くケースもあります。

抜歯が推奨される不正咬合

叢生(そうせい)

叢生とは歯の大きさに対して顎が小さく、スペースが足りないためにデコボコになっている歯並びのことを言います。叢生の治療法は抜歯を行い、歯の本数を減らしてスペースを確保し、歯を移動させます。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突は上の前歯、もしくは上顎の歯列全体が前に突出している歯並びで、出っ歯とも言われています。上顎前突の場合の治療法は抜歯を行い、上の前歯を顎の骨に正しい向きで植立させます。

下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突は下の前歯、もしくは下顎の歯列全体が前に突出している歯並びで、受け口とも言われています。治療法は上顎前突と同様に抜歯を行い、下の前歯を顎の骨に正しい向きで植立させます。

抜歯が必要ないケース

抜歯が必要になる治療がある一方で、条件を満たしていれば抜歯を回避できるケースももちろんあります。抜歯が推奨される不正咬合である、叢生や上顎前突、下顎前突などであっても症状が軽度であれば抜歯をせずに治療できるケースもあります。また顎が大きい場合や、歯周組織に十分な厚みがあり歯茎が健康な状態であれば、抜歯せずに治療できる確率がさらにぐんと高くなります。その他にも年齢が若いほど、非抜歯での矯正治療が可能です。顎骨が成長段階にある子供の矯正治療であれば、顎の成長を促したり、成長に合わせて治療が行えるため抜歯を回避する事ができ、治療のタイミングを逃さないためにも日本矯正歯科学会では、7歳までに専門医に相談することが推奨されています。

健康な歯を抜いて歯並びを整えることに抵抗がある方も少なくないでしょう。矯正治療で抜歯をすることは、治療効率を上げ、仕上がりを良くするという大きなメリットがある一方で、健康歯を失うことで、歯列全体の強さが落ちるといったデメリットもあります。単純に「抜歯」が良い、「非抜歯」が良いというのではなく、それぞれの一長一短を理解した上で、抜歯の矯正治療に踏み切るかを検討されることをお勧めします。

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