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味覚障害の症状と対処法

昔より濃い味付けのものを好むようになったり、今まで美味しく感じていた物が急に味がしなくなったりしたことはありませんか?味覚は加齢と共に低下すると言われており、近年では60歳代から70歳代をピークに味覚障害を訴える人が増加しています。

食べ物を美味しく食べられることは生きる上で、幸せの一つとも言える非常に重要なことです。いつまでも美味しいものを食べるためにも味覚障害は防ぎたいですよね。今回は味覚障害についてご紹介します。

Contents

味覚障害とは

味覚障害とは、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味といった味覚に異常が現れる障害のことをいいます。

味覚障害には、味が薄く感じたり、何を食べても味がしなかったり、本来の味とは違う味に感じたりするといった症状が現れ、味覚に異常があると、食べることを楽しめなくなり食欲の低下が起こったり、食べ物が腐っていても気づかずに食べてしまい、健康に悪影響を及ぼす可能性など様々なことが考えられます。また味が薄く感じてしまう症状であれば、知らず知らずのうちに濃い味付けになって塩分を摂りすぎてしまうことも十分にあるでしょう。

加齢による感覚機能の低下や、薬の副作用などが原因で、高齢者は特に味覚障害が起きやすく、味覚障害を患っている方の約半数近くを65歳以上の高齢者が占めていると言われています。

味覚というのは、食べ物の味の成分が唾液に溶け出して味蕾(みらい)にある味覚受容器を刺激し、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味などを脳へ伝達することで味を感じることができる仕組みになっています。味覚には、美味しさを感じるだけでなく、食欲を刺激したり、腐っているものや、危険なものを食べないように判断したり、唾液や消化液の分泌を促進し消化を助けたりと様々な役割を担っています。

味覚障害の症状

一口に味覚障害と言っても症状には複数のタイプがあります。

普段より味が薄く感じたり、今まで美味しく感じていたものが美味しく感じられないなどの「味覚減退」タイプや、全く味が分からなかったり、何を食べても砂を食べているように感じる「味覚欠如・無味覚」タイプ、さらには何も食べていなくても味がするように感じる「自発性異常味覚」というタイプがあります。また醤油が苦いなど、本来の味とは異なる味に感じてしまう「異味症」タイプや、塩味や酸味を苦いと感じたり、酸味を塩味と感じる「味覚錯誤」というタイプもあり、甘味や旨味などの特定の味が分からない「解離性味覚障害」という症状もあります。

そのほかにも、味覚が過敏になりすぎてしまう「味覚過敏」タイプや、片側の神経障害などが原因で舌の片側だけ味を感じられない味覚消失もあります。

味覚障害の原因

亜鉛不足

偏った食生活などが原因で亜鉛の量が不足すると、舌の表面にある味蕾(みらい)という味を感じる細胞の新陳代謝が十分に行われなくなり、味覚障害が起こります。亜鉛は体内に約2gしか存在しな微量な元素でありながら、新しい味蕾を作るという大事な役割を担っています。

亜鉛不足を引き起こす原因は、食事を簡単に済ませたり栄養バランスが偏った食事をすることが要因で、加工食品やインスタント食品に含まれる添加物は亜鉛の吸収を妨げます。また、お酒をよく飲む人は、アルコールを分解する過程で亜鉛が使われるため亜鉛不足になりやすいと言われています。

加齢

味蕾の数は年々徐々に減少し、高齢者は新生児の3分の1まで減少すると言われています。また舌にある乳頭というザラザラした部分の形も加齢によって変化します。乳頭には味蕾が存在しているため、乳頭の形が変化することも味が感じにくくなる要因の一つと考えられています。さらに、加齢とともに唾液の分泌量も減少していくため、食べ物に含まれる味物質が唾液に溶けにくくなることも味覚障害を引き起こす原因となります。

舌の表面の付着物によるもの

舌の表面はピンク色をしているのが正常ですが、疲れたり強いストレスを感じている時や、風邪などで高熱が出たときに舌が白く色が変わることがあります。これは「舌苔(ぜったい)」といい、舌の細胞がはがれたものや、食べカス、細菌、白血球の残骸などが付着したものです。

舌苔によって味を感じる細胞が覆われてしまうと舌の違和感や味覚障害が現れることがあります。

嗅覚の低下によるもの

風邪や花粉症などで鼻が詰まっていたりすると味が分からなくなることがあります。嗅覚が低下しているときは味覚障害が比較的起きやすくなり、これは年齢関係なく若い方でも発症します。

薬剤

高齢者が味覚障害を引き起こす一番の原因は薬剤性が多く、これは日常的に薬を服用する機会が増えるためです。味覚障害を引き起こす薬剤は約250種類以上あり、神経の働きを鈍くしたり、亜鉛の吸収を抑制したり、唾液の分泌を抑えるなど様々な副作用が味覚障害の原因となります。

病気

貧血や消化器疾患、糖尿病、肝不全、腎不全、甲状腺疾患などの病気は味覚障害を招きます。また顔面神経麻痺や脳梗塞・脳出血、聴神経腫瘍、糖尿病などの病気は味覚を伝達する神経経路に異常をきたすことがあり、シェーグレン症候群や口腔乾燥症(ドライマウス)などで唾液分泌量が減少したり、入れ歯が合わないなどのお口のトラブルも味覚障害の原因となります。

他にも、精神的なストレスが原因で味覚障害となってしまうこともあります。ストレスがかかると、亜鉛の消費量を増加させたり、交感神経を刺激するため唾液の分泌が抑制されて口腔内が乾燥してしまうことが原因だと考えられています。

味覚障害を起こさないために

味覚障害の原因によって対処法も様々ですが、日常生活で出来る対処法は、まず一つにバランスの良い食生活を心がけ、亜鉛を積極的に摂取することでしょう。

味を感知する味蕾は、10日程度で新しく生まれ変わります。1日に必要な亜鉛の量は、男性は9~10mg、女性は7~8mg摂取することが推奨されています。魚介類のカキや海藻、大豆や胡麻、ブロッコリーなど亜鉛を多く含む食品を積極的に摂取し、インスタントや加工食品などを避けた食事を心掛けましょう。またお酒もアルコールを分解する過程に亜鉛を消費してしまい亜鉛不足になりやすいのでアルコールの量を控え栄養バランスには特に気を遣いましょう。

また味覚障害を防ぐための一つとしてお口の中を常に清潔に保つことも、とても大切です。 日々のセルフケアに加え、歯科医院で定期検診を受けるなどの口腔ケアを行いましょう。

また味覚障害かもしれないと感じた場合には、速やかに耳鼻科や歯科医院を受診しましょう。

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