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歯の色が変わる?神経が死ぬ原因

歯の表面はエナメル質という半透明の硬い組織で覆われており、その下には象牙質という薄黄色や灰色のような色をした組織があります。この象牙質がエナメル質から透けて見えることで健康な歯は乳白色に見えています。その中に1本だけ、他の歯に比べて明らかに黒っぽかったり、焦げ茶のような歯があると目立ち、気になりますよね。神経を抜いた記憶がないのに歯の色が黒っぽく変色してしまうのは、歯の神経である「歯髄(しずい)」が死んでしまっている可能性があります。では一体、歯の神経が死んでしまう原因は何なのか、またどうしてそのようなことが起こるのかなどについてご紹介します。

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歯の神経が死ぬ原因

歯の神経が死んでしまう原因はいくつかあり、その多くが虫歯によるものです。歯の中にある神経に虫歯の到達が近づくにつれて、その分痛みは増し、虫歯が神経まで虫歯が到達すると神経を取らなくてはいけません。特に、一度虫歯治療をした歯で神経を残して詰め物をした場合は、日々の食事による刺激で神経が炎症を起こしやすくなります。

また噛み合わせが悪く一部の歯に過度な力がかかることで歯の神経が死んでしまう場合や、転倒などによる外傷によって神経が死んでしまうケースがあります。歯の神経は痛みを伴うことなく、気付かないうちに歯の神経が死んでしまうことがあり、そのまま気付かず治療しないままでいると、中で膿んできてしまいズキズキとした痛みが出てきます。このズキズキとした痛みはレントゲン上では変化がないため分かりにくく、過去の詰め物や外傷が原因になってることが多いです。

歯の神経が死ぬとなぜ黒くなるのか

歯の色はさまざまな原因によって変色することがあり、その中でも黒くなってしまう変色を起こすケースは比較的多い症状のひとつと言われています。歯が黒っぽく変色してしまう理由は虫歯や歯髄炎、過去の虫歯治療や外傷などで神経が死んでしまうことが多く歯の神経が死ぬと歯の色が黒っぽく、あるいは焦げ茶のような色に変色してしまうのは、歯を強くぶつけた場合など、歯の内部で出血が起こり、その出血が象牙質内の細管に入り込んで黒っぽく見えるというケースや、歯の象牙質に存在しているコラーゲンが変性してしまい、黒っぽく見えてしまうという理由が考えられます。

神経を抜いた歯が黒ずむのは知っている方も多いかと思いますが、神経を抜いてもいないのに黒っぽく変色している場合、歯の神経が死んでしまっている可能性があります。

痛みがなかったら放置していい?

歯が黒く変色してしまっても痛みがない場合、前歯などの目立つ歯で無い限り、気付くのが遅れたり、仮に気付いても「目立たないからいいや」などの理由で歯科医院を受診するのを先延ばしにして放置してしまう方もいるでしょう。しかし痛みがないからという理由でそのまま放置してしまうと、ある日突然、強い痛みが生じたり歯茎が大きく腫れてしまう危険性があります。

過去に詰め物などの治療をした場合、綺麗に磨き続けないと詰め物が劣化しやすく、最も汚れが付着しやすい場所です。定期的に検診を受けたり、歯が黒っぽく感じた場合にはすみやかに歯科医院を受診しましょう。

神経が死んだ歯を白くする方法

歯が茶色や黒っぽくなってしまうと目立ってしまう上に、印象もいいとは言えません。神経が死んでしまった失活歯を白くするにはいくつか方法があります。

1つ目は失活歯のホワイトニングを行う方法です。神経が死んでしまった歯には、一般的な歯の表面から行うホワイトニングではあまり効果が期待できないため、ウォーキングブリーチ法という内部からのホワイトニングを用いるのが一般的で、この治療法は歯質が多く残っていて、なるべく自分の歯を削らずに治療したい場合におすすめの治療法と言われています。

ウォーキングブリーチの手順は、歯の根の治療をしたときに開けた歯の裏側の小さな穴の内部にホワイトニングの薬剤を注入し、内部から漂白をするようにホワイトニングを行ないます。1週間ごとに内部のホワイトニング薬剤を交換しながら色の調整を行います。神経がなくなった歯の着色は歯の内部に深く色素沈着してしまっているため、十分な効果を得るまで何度かホワイトニングを繰り返す必要があります。ウォーキングブリーチのホワイトニング効果は変色具合によって少し差があるため隣接する歯と全く同じ状態にするのは困難で、変色の原因によって効果に差がでてきてしまうデメリットがあります。またウォーキングブリーチは、歯の中に高濃度の漂白剤を入れて内側から歯を白くするため、歯の中にガスが充満し歯が割れる危険があるという報告や、根の治療が不十分だったり、深くまでホワイトニングを行った場合、歯の根を通して歯ぐきに浸透し、根や歯の周りの骨が溶けてしまうことが報告されているようです。

2つ目はセラミッククラウンなどの被せ物で白くする方法があります。歯の表側にすでに詰め物が複数の箇所に詰まっている場合や、歯の向きや形、見た目もきれいに整えたいというような場合には、歯を削って上からセラミックを被せるという治療法が適しており、失活歯の強度などを考慮すると、クラウンを被せた方がいい場合もあります。

またラミネートベニアといって、歯の表面を0.3~0.5mm程度わずかに削り、表面にセラミックの板を爪に付けるネイルチップのように貼り付ける治療法があります。食事などするとセラミックの板が剥がれてしまわないか不安になるかたもいますが、近年ではセラミックの板の強度が上がり、接着剤も改善されているため、悩みによっては有効な選択肢のひとつと言えるでしょう。

「気付けば神経が死んでいた」と言うケースは少なくありません。もしご自分の歯に少し黒っぽく感じる歯がある場合は、すみやかに歯科医院を受診しましょう。そして過去に虫歯治療や詰め物をしている場合も、お口の中を定期的に診てもらい、健康なお口と歯を維持できるように心掛けましょう。

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