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コルチコトミー(スピード矯正)

コルチコトミーとは

一般的に成人された方が上下顎の矯正治療を行った場合、歯を動かす期間は通常2年はかかります。しかし、歯列矯正とコルチコトミーを併用することで、治療期間を最短6ヶ月で治療をすることが可能です。

コルチコトミーとは、40代以上の歯の動きが遅い方、または歯ぐきに問題がある方を対象に行う治療法で、簡単にまとめると、骨にスジを入れて早く歯を動かしていく矯正治療方法です。日本語で「促進矯正法」とも言われており、文字通り通常の矯正治療と比較して治療期間を約半分に短縮できる方法です。

ブラケット(矯正装置)を装着する前に歯茎の手術をし、歯茎の骨の代謝を促進して歯の動くスピードを早めます。この外科処置を加えることで、劇的な治療期間の短縮を可能にし、治療後は骨が再結合することで、より安定した歯列を手に入れることができます。歯を支えているあごの一番硬い骨と言われている皮質骨を一部除去すると共に、歯を直接支えているその内側の柔らかい海綿骨という骨に器具で少し切り込みを入れ、歯が動きやすい条件を作ります。これに矯正装置による外部からの力を加える事と自然治癒力の作用を併用して矯正治療を行います。

このような外科手術が加わりますが矯正歯科治療と併用して行う治療で、安全な方法です。歯肉をはがして手術する歯周病や歯槽膿漏の手術と同じで、危険性はなく、入院する必要もありません。所要時間は2時間ほどで終わります。

コルチコトミーのメリットと注意点

コルチコトミーのメリットは、まずはじめに矯正治療期間が大幅に短縮できるという事です。

通常、矯正治療には数年の治療期間がかかります。そのため、すぐに歯並びまたは噛み合わせを治したい方や治療に時間をかけられないという患者さんにとっては大きな障害となっていました。スピード矯正とも呼ばれるコルチコトミー矯正は、さらなる進化を遂げており、現在では通常の矯正歯科治療の2分の1から4分の1の期間で治療を終えることが可能になっています。

通常、少しずつ歯を動かす矯正治療では治療に時間がかかるため、短期間で歯並びを整えたい方は、健康な歯を削ることが前提の審美性の高いセラミッククラウンやラミネートベニアといった被せ物による治療法を選択しなければなりませんでした。しかし歯は一度削ってしまうと健康な歯は二度と戻ってきません。さらに虫歯等のリスクも高くなってしまいます。

コルチコトミーを併用したスピード矯正は、健康な歯を削ることなく、自分の歯を使って短期間に歯並びや噛み合わせを治療することが可能になりました。歯周組織の改善もでき、歯を抜かずに治療できるケースが多い事なども利点として挙げられます。また、矯正治療後の後戻りが少ない矯正法でもあります。矯正治療が完了をすると、歯並びが矯正治療前の状態に戻ろうとする後戻りと呼ばれる現象が起こります。

ところが歯を安全且つ短期間で動かすために、コルチコトミーを併用した矯正では歯の土台となる歯槽骨という骨に切れ目を入れる手術を行います。このことにより、修復されるときに骨の強度が高まり、他の矯正法に比べて矯正治療後の後戻りが少なくなります。手術と聞くと大がかりな事を想像しがちですが、この方法は親知らずを抜く程度の手術で、約1時間ほどの処置で終わります。手術後は腫れや多少の痛みを伴いますが、その日のうちに帰宅できます。

このコルチコトミー治療法は手術を伴うという面から、成人を対象としており、さらには40代以上の歯の動きが遅い方、または歯ぐきに問題がある方を対象とし、歯や歯骨の状態、歯肉の状態などを総合的に診断して施術が可能かどうかを判断しなければなりません。そのため誰でもこの治療を受けることができるわけではありません。

また期間短縮だけを目的にしてしまうと仕上がりが荒くなってしまう恐れがあります。

コルチコトミー手術の手順

コルチコトミー手術は、まず局部麻酔をし、歯茎に切開線を入れ、歯の根の間の骨にヒビを入れます。

歯肉を剥離し、歯槽骨を露出させます。完全に歯槽骨を露出させたら、タービンで歯槽骨にミゾを入れます。

そして骨を強くするための人工骨を加えていきます。特に歯の根が見えて薄くなっている所には重点的に入れます。

それらが終わるとめくっていた歯ぐきを元通りに縫い合わせます。

コルチコトミーの効果をすぐに発揮させるため、この後すぐにワイヤーを通し矯正力を加えます。さらに感染を防ぐためにパッキング剤で固定し、感染予防のクスリが処方されます。

手術後口元が腫れてしまう場合もありますが、通常はだいたい2日~3日でおさまります。およそ1週間後に抜糸をし、コルチコトミー後、通常の治療と同じようにブラケットを装着し歯を動かしていきます。

コルチコトミーを併用した全体矯正への実践法は、P.G.I.創設者であるDr.寿谷が1989年に世界ではじめて発表した理論です。

P.G.I.とは「Practical Gnathology Institute」の略で、1984年に医師である寿谷 一(すや・はじめ)が設立した真の総合歯科診療をめざす咬合学の研究機関です。P.G.I.は、歯科のあらゆる分野で世界的な知識と技術をもちあわせており、Dr.寿谷の理念を実践していく歯科治療のエキスパートの集団です。現在、世界中でおこなわれているコルチコトミーを併用したスピード矯正は、すべてDr.寿谷の理論を基礎として実践されています。

P.G.I.のDr.寿谷が提唱したコルチコトミー併用矯正は、Dr.寿谷の元で学んだ深沢真一医師が定義した「スピード矯正」の名前で、広く知られるようになりました。

多くのメリットがあるコルチコトミー矯正が普及していくことは大変喜ばしいことですが、その一方で、きちんとトレーニングをつんでいない歯科医師がコルチコトミー併用矯正をおこなうといったケースも多く見受けられるようになってきてしまいました。

コルチコトミー矯正に興味を持ち、治療を希望される患者様は、きちんとした知識と技術を身につけ、さらに治療実績を積んだP.G.I.ドクターによる治療を受けられることをオススメいたします。

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