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歯科における「X線」とは、歯科治療の補助として行う、X線を用いた「写真撮影」のことです。

主な対象として、歯、歯茎、顎の骨などがあり、X線写真から得られる情報は歯科治療において不可欠なものです。物質を通過する放射線「X線」が発見されてすでに118年が経ち、それ以降、医学は大きな進化をとげました。従来、直接は見ることが出来なかった、体内の病巣を把握するには、問診・視診・触診や医師の知識、経験をもとにした推理によって行うしか方法がありませんでした。しかし、X線の発見によって、見えないものが見える診断へと変わり、写真に写し出されることで、体内のどこで何が起こっているかを具体的に把握できるようになったのです。

X戦の発見から数年で歯科の分野でも実用化され、治療計画の立案や治療後の経過観察など、あらゆる場面で使用されるようになりました。歯科にまつわるお口の病気は、ロの中を覗くだけで発見出来るものは、ほんの少しです。

さらに痛みが出ないまま進行する病気は珍しいものではないので、見えないところまでしっかり診ることが、歯科の治療でも大切なのです。

X線で何が見える?

X線の撮影には、主な撮影法として3種類あります。

歯を含めた口腔周囲の全体像を映し出す「パノラマX線」と、3〜4本の歯を実際の形態に近い状態で映し出す「デンタルX線」、さらに3Dの立体画像を得られる歯科用「CT」があります。

パノラマX線の場合は、装置が患者さんの回りを回転して撮影します。歯や歯の回りだけでなく、顎の骨格まで一枚の写真に映し出します。口全体が写るため、上下の顎の全体の状態から、歯や歯の根の形や本数はもちろん、完全に歯が生えていない親知らずの歯や、何らかの原因で生えてこない歯、または過剰な歯であったり、口の開け閉めのための顎関節の形、さらには下の顎にある神経や血管が中を通る下顎管などまで写ります。一望できることで、患者さんのお口の状態や病態を総合的に把握することができます。

デンタルX線の場合は、より詳しく歯の形態や神経の入っている場所であったり、歯槽骨と言われている歯を支えている骨や、歯と歯を囲む骨の隙間の形体などを見ることができます。小さな歯の中に隠れた虫歯や、細くて複雑に分岐した根管、歯槽骨の減り具合や骨密度、さらには歯茎の奥にこびりついた歯石まで写し出します。歯科に関わるあらゆる病気の発見に役立ち、デンタルX線の場合、フィルムをロの中に入れて撮影するので「ロ内法」とも呼ばれるX線です。

そして近年では主流になってきているCTの場合は、患者さんの顎を3Dで立体的に撮影し、立体画像やあらゆる角度からの断層写真を見ることができます。CTでは歯や歯槽骨から顎の骨格や神経、血管、腫瘍などの形と位置などを、正確、且つ容易に知ることができるようになりました。CT画像は、インプラント治療や歯周病などの高度な歯科治療の診断に非常に有効であり、従来の平面画像では難しいとされた、骨幅の確認などが行えます。CT撮影では様々な角度から診断することで、安全な診査、診断、治療計画に役立てることが出来ます。

放射線の量って安全なの?

X線検査」と聞くと、放射線量や、被ばくについて気になる方もいるのではないでしょうか?

放射線量の数値によっては人体への影響があることが、さまぎまな研究者から、データとして開示されています。簡潔にまとめてしまうと、自然界の放射線量と比較したり、あるいは日常生活のレベルで考えて、歯科のX線における放射線量は心配しなくてもよい範囲の線量だと言えるでしょう。しかしリスクがゼロな訳ではありません。歯科治療時に撮影されるデンタルX線1枚の放射線量は0.01ミリシーベルト程度で、パノラマX線撮影は約0.03ミリシーベルト程度と言われています。

また歯科用のCTの被ばく量は、医科用のCTの約3分の1〜5分の1ともいわれており、安全性は高いと言えます。数値に表すと医科用のCTの被ばく量は6.9ミリシーベルトと言われており、歯科用のCTは0.1ミリシーベルトと言われています。さらに日常生活における1年間の自然放射線は2.4ミリシーベルトと言われているため、それと比較すると極めて少ない数値だと言えるでしょう。

歯科用のCTとは

一般によく聞く「CT」とはコンピューター断層撮影(Computer Tomography)の略です。コンピュータを使ったデータ処理とX線画像の再構成で、断層写真を得ることができる装置です。歯科用CTとは、近年開発された歯科に特化したCT装置で、コーンビーム方式を用いているため「コーンビームCT」とも呼ばれています。

主に、インプラントや親知らずの抜歯などの治療に用いられますが、蓄膿症などの耳鼻科領域にも応用されることがあります。医科用CTと歯科用CTの違いは、X線照射量が違います。歯科用CTは、医科用CTに比べ、約3分の1〜5分の1程度と被ばく量が非常に少なくなっています。また超高解像度画像から広範囲撮影まで可能で、医科用CTの約5倍の情報量を得ることが出来ます。

歯科医院でのインプラント治療や抜歯、歯周病治療、または矯正治療など、目に見えない部分の分析であったり、精密な技術を要する治療には、当然のことながら精密な検査が必要となってきます。三次元の高画質画像を用いることで、従来のパノラマX線写真やデンタルX線撮影法(口内法)では判別できなかった、顎の骨の立体的な形態や、神経の位置の把握などを容易に確認することが出来るようになり、さらには骨密度の診査にも利用できるようになったのです。CT撮影にかかる時間は、セッティングから撮影まで、おおよその目安として約10分ほどでしょう。

X線検査は治療だけでなく、治療終了後の経過観察にも役立っています。また、歯科用のCTが近年では主流になってきており、より良い治療ができる環境が整ったと言えるでしょう。

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