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噛む力が低下すると視力も低下する

近年、噛む力が低下していると言われていますが、実は視力の低下にも繋がることをご存知ですか?子供の虫歯は減少しているが、視力の低下は増加しているという調査結果があり、2016年4~6月に、国公私立の幼稚園から高校までの約344万人を対象にした大規模調査が行われました。虫歯が減少したことは非常に良いことですが、視力低下は大きな問題といえるでしょう。中でも、裸眼視力が1.0未満の割合の増加が深刻で、幼稚園で27.9%、小学校で31.5%、中学校で54.6%、高校で69.9%と、いずれも過去最悪のパーセンテージと言われています。

増加する視力低下の原因は?

視力低下の主な原因として、スマートフォンやパソコンの使用が挙げられています。
子供の視力低下が問題視され始めたのは1980年代からで、その当時はスマートフォンもタブレットも普及しておらず、当時は、テレビやファミリーコンピューターなどのゲーム等で目を酷使することが視力低下を招くと言われていました。しかし、生後から視力が発達しピークを迎える年齢では、テレビやゲームは原因ではなく、実は軟らかい食べ物が多く普及したことで噛む力が低下し、視力が低下のしたとの指摘があります。

噛む力と視力の関係

人は生まれたとき、ほとんど目は見えませんが、成長していくにつれ徐々に見えるようになってくると言われています。目はカメラのような構造になっており、「水晶体」と呼ばれる目の部位は、レンズにあたり、遠くや近くを見るためのピント調整を行います。水晶体の上下にある「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が、ピント合わせを行う水晶体の厚みを調節する筋肉になり、この毛様体筋が噛む力(咬合力)と関係があると考えられているのです。その理由は、毛様体筋は目に隣接するさまざまな筋肉を使うことで鍛えられ、特に、食べ物を噛む時に働く咀嚼筋は、隣接する筋肉の中で一番大きな筋肉であることから毛様体筋にもたらす影響は大きいと考えられています。したがって隣接する一番大きな筋肉である咀嚼筋が低下すると、ピントを調節する筋肉も衰え、視力低下に繋がるということです。

また、目の網膜には、オメガ3脂肪酸のDHAが多く存在し、その機能を支えています。オメガ3脂肪酸は魚に多く含まれており、近年の子供や親世代の魚離れによるDHA不足も視力低下に影響を与えていると言われています。最近では、硬い食べ物の感覚基準が低下していき「ご飯は硬いもの」、「豆腐は普通」と答える子供がいるなど、咬合力の低下は深刻化しています。こうした硬さの感覚低下も噛む力が弱いことを示しており、視力低下と繋がっていると言えるでしょう。また、乳幼児の早すぎる時期の離乳も、食べものを噛まずに飲み込むことを覚えてしまう可能性があるため、その後の咬合力低下につながり、視力低下に結び付くことが考えられます。

噛む力の大切さ

噛む力が低下することで、視力低下だけでなく、身体にさまざまな影響をもたらします。

噛む力が低下すると、美味しく食事が出来なかったり、食べられるものが制限されることは容易に想像できるかと思います。噛む力が低下すると、雑穀類や野菜類、肉類などの硬い食べ物を避けるようになり、カレーライスやうどん、ごはんなどの軟らかいものを好むようになります。そうすると必然的に糖質の摂取量が増加し、栄養バランスが崩れ、このような軟らかい食べ物はあまり噛まずに飲み込めるため、早食い、大食いを招き、消化器官にも負担をかけてしまい、肥満の原因に繋がるでしょう。

また、肉類を食べる機会が少なくなると、タンパク質が不足します。タンパク質が減ると筋肉量が減り、体力低下にも繋がります。そして運動量や活動量が減少することでメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を招くと考えられています。さらに咀嚼回数が減ることで、脳への刺激が減少し、認知症を招くと言われています。このような事態を防ぐためにも、噛む力は非常に大切であり、乳児のあごの骨の成長にも大きく関わります。

乳児は噛むトレー二ングによって、咀嚼力を鍛え、歯並びを整えながら段々と顔の形を形成していくため、噛むことによって歯や歯茎、あごの骨、咀嚼筋、舌、唇などがうまく働き、それらの機能を高めます。歯茎の骨の細胞は、カルシウムなどの栄養を噛むことで取り込んでいきます。しかし、噛む力が弱いと代謝機能がうまく働かず、骨が発育不良に陥り、次第に歯茎の抵抗力も弱まって、歯が抜けてしまい、左右の歯並びにズレが生じてしまいます。左右の歯並びにズレが生じると、片側だけで噛むようになったりと、あごの関節に加わる力に差ができてしまい、成長期の子供であれば、顔の輪郭にゆがみができてしまいます。酷くなると背骨にまでも影響を及ぼして、「脊柱そくわん」という背骨が内側に曲がってしまう原因にもなります。噛めば噛むほど筋肉が正常に作用して姿勢が良くなり、運動能力も高まると言えるでしょう。また噛む力はスポーツにまで影響していることがわかっており、スポーツ選手は噛む力が一般人よりも強いと言われています。

このように噛む力には、あらゆる箇所に影響を与えています。軟らかい食べ物が多く普及していますが、歯ごたえを楽しみながら食事をすることも、ひとつの楽しみであると考えます。噛む力は老後の人生にも非常に大切なものであり、年を重ねても、なんでも食べられることは、心身の健康にもつながります。是非、今日からの食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

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