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食べ物をよく噛んで味わうことを咀嚼(そしゃく)といい、私たちが生きていくうえで咀嚼はとても大切なことです。弥生時代は、1回の食事に約4000回も噛んでいたと言われています。それが徐々に減っていき、現代人が1回の食事で噛む回数は、約600回といわれています忙しい現代人は、食事にかける時間がゆっくり取れず、ファストフードの影響も。あって早食いになってしまう傾向があります。また柔らかい食べ物を好むようになったことなどから、噛む回数が激減し、咀嚼不足が起こっています。

成長期の子供にとって咀嚼回数の低下は、顎骨の発育に悪い影響を与えてしまい、歯並びが悪くなる大きな原因となります。健康な歯で食べ物をしっかりよく噛むことは、全身の健康に大きな効果をもたらします。しっかりよく噛む大切さを忘れてしまった現代人は、医療の発達のおかげで、長生きにはなったが不健康な人も数多くいるという状況に陥ってしまっています。

今回は咀嚼の重要性についてご紹介します。

咀嚼がもたらす良い影響

食べ物の消化・吸収によい

よく噛むことで、消化酵素のアミラーゼを含む唾液の分泌を促し、胃腸で食べ物を消化吸収する働きを助けます。唾液は唾液は一日に約1500ccほど分泌され、消化を良くします。よく噛まないと、消化器官に余計な負担をかけてしまい、消化不良を起こすこともあります。

強いアゴをつくる

硬い物などをしっかりよく噛んで食べることで、上下のアゴの骨や顔の筋肉が発達し、健康で丈夫なあごを作ります。アゴが充分に発達していないと歯並びが悪くなったり、運動能力が低下するなど、さまざまな影響を及ぼします。また普段から硬いものなど噛まないことで、「噛む力が低下」し、のちに噛めなくなってしまうことも大いに考えられます。抵抗力、耐性の低下により顎関節症の誘因ともなり、噛めなくなれば食事を取りづらくなったりと、健康を害する問題にも発展するでしょう。

脳を刺激し、活性化させる

噛むという作業により、頭の骨や筋肉が動き、血液の循環がよくなることで脳神経が刺激され、脳の働きが活発になります。また味覚や嗅覚を感じることでも脳に刺激を与えます。

がんや老化を予防する

唾液に含まれるペルオキシターゼというたんぱく質には、発がん性物質の発がん作用を抑える働きがあります。また、ペルオキシターゼには、老化現象など、身体に悪影響を与える活性酸素を抑制する働きもあるので、よく噛むことは老化防止にもつながります。

噛んだ刺激は神経を通して脳を刺激します。脳の循環血液量が増加し、知的発達を促進するため、老化の予防(ボケ防止)にもなるでしょう。

虫歯・歯周病予防

噛むことで唾液の分泌がよくなり、唾液に含まれる、リゾチーム、ラクトペルオキシターゼ、IgAなどの免疫抗体が感染を予防し、疾病の予防、健康増進に役立ちます。よって口腔内の清潔が保たれ、虫歯や歯周病の予防に繋がると言えるでしょう。

ストレス解消と肥満防止

早食いをせず、ゆったりと時間をかけて楽しく食事をするということは、血糖値が高まり、満腹中枢を刺激します。その結果、食べ過ぎや肥満を予防します。脳軟化症などのボケてしまっている人が絶えず食べたがる傾向にあるのは、満腹中枢が機能しないためと言われています。

またゆっくり時間をかけて楽しく食事をすることで、緊張をほぐし精神を安定させ、ストレス解消にもつながるでしょう。

噛む力を育てるために

実は子どもは、お母さんのお腹の中にいるときから指しゃぶりをし、生まれたら母乳を吸うことで、「噛む訓練」を始めています。2~3歳頃には乳歯が生えそろい、噛むための準備が整います。そして5~6歳頃までに大人の3分の1程度まで噛む力がついてくると言われています。

噛む力を育てるには、4~5歳ぐらいを目安に、ある程度噛みごたえのある食事を意識的に取り、噛む訓練をすると良いでしょう。体が軟らかい幼児期のうちに気を配れば、アゴが健やかに発達し、歯並びもよくなる傾向にあります。乳歯が永久歯に生え替わる前までが、噛む習慣を身に付ける大事な時期なのです。
では具体的にどんな物を食べたら、噛む訓練になるのでしょうか?

乳歯が生えそろったばかりの2~3歳児は、リンゴや柿など、少し硬めの果物から始めて、徐々に噛みごたえのある物を取り入れていくといいでしょう。4歳ごろからは、グニャグニャと弾力のある物をすり潰すように食べるのが一番いいです。具体的には、ゴボウやレンコンなどの繊維の多い物や、するめ、切干大根、たくあんなどもよいでしょう。あるいは少し硬めのガムやグミを与えてもいいでしょう。最近は、子ども向けの噛む訓練用のガムやグミなどもあるので、のどを詰まらせる心配がなくなったら、試してみてもいいかもしれません。

噛む回数はどれくらい?

「ひとくち30回」が理想です。なかなか毎回数えるのは大変かと思うので、食事の始めだけでも意識してみるといいでしょう。お子さまの噛む練習であれば、ひとくち食べ物を口に入れたら、箸やフォークを置いて、30回噛んでみましょう。手をたたきながら数を数えるなど、ゲーム感覚で行うと、ストレスもなくできるかもしれません。

また足がぶらぶらしていると、しっかり噛むことができないので、足がしっかり床に着いていることが大切です。食べるときの姿勢は、歯並びにもつながるので、気をつけた方がいいでしょう。

正しい噛み方の見分け方

左右両方の歯でまんべんなく噛んでいれば問題ありません。もし、片側だけでかむ「片がみ」のくせがあると、噛み合わせが悪くなるだけでなく、アゴや顔、姿勢のゆがみにも影響します。

ご自身の噛みグセを知るためには、少し硬い食べ物を噛んでみて、右側と左側のどちらの歯で頻繁に噛んでいるかを意識してみるのもいいでしょう。また、クチャクチャと音を出して噛んでいないか、あまり噛まずに飲み込んでいないかなどもチェックすると、日頃の咀嚼の仕方を知るきっかけになります。

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