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下顎が出ている下顎前突(受け口)

下顎前突とは、下の顎が上の顎より前に出すぎている状態、いわゆる受け口のことをいいます。下顎前突は、下顎骨が成長しすぎることによって起こり、12歳~15歳頃の成長期の時期に下顎の突出が次第に目立ってくる場合が多いです。成長が終わる前に下顎前突を改善していないと外科的措置が必要な矯正治療になってしまう可能性が高くなるため、早期の治療が重要です。

重度の下顎前突の場合は、噛み合わせが悪く奥歯の数本しか噛み合っていないため、噛み合わせだけでは物を噛み切ることができません。さらに、喋るときにも舌を使うため、特にサ行の発音に影響が出やすく、舌っ足らずな喋り方になってしまう場合があります。また、英語の発音にも影響が出る場合があるといわれています。さらに、左右の顎のどちらかが過剰な成長を起こしてしまうと、顎が左右に偏った下顎前突になってしまいます。

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下顎前突

前歯が原因の場合

顎の骨格は問題がなくても、上顎の前歯が内側に傾いてしまい、下顎の前歯が外側に傾いてしまうことによる、前歯の方向が原因で下顎前突になる場合があります。

遺伝的な要因の場合

生まれつき下顎が大きかったり、上顎が小さかったりなどの骨格性の遺伝が原因で下顎前突になる場合があります。この場合、永久歯に生え変わる前に治療をおこなったとしても、思春期に顎が急激に成長する際に、下顎前突になってしまう場合が多いです。

癖が原因の場合

子どもの頃などは、無意識に下の顎を前に突き出す癖がある場合があります。また、口呼吸の癖がある場合も舌の位置が不安定になるため、舌で下の前歯の裏側を前に押していることがあり、こうしたことが原因で徐々に下顎前突になってしまう場合があります。

下顎前突の治療法

チンキャップ

チンキャップとは、下顎全体をゴムの力を利用して後方に移動させることにより骨格性下顎前突を改善させるという装置です。頭にヘッドキャップ、顎にチンキャップを装着して、その間をゴムで引っ張ることにより、上顎と下顎の位置関係を調整して受け口の状態を改善していきます。しかしチンキャップは反対咬合を治す装置としては今でも優秀な装置なのですが、顎の成長を抑えるためには顎の成長が終わる年齢になるまで使用しないといけないため、現実的に難しいため、下顎を小さくするという目的では使用できません。

ムーシールド

ムーシールドは3歳から使用することができる下顎前突治療専用のマウスピースです。寝ているときに口の中に入れておき、舌を持ち上げることを覚えさせます。口の中にマウスピースを入れたまま眠るのは、最初は違和感がありますが、1週間から1ヶ月ほどでほとんどのお子さんは慣れてきます。

リンガルアーチ

上顎前歯が内側へ傾いていることが原因の反対咬合の場合は、リンガルアーチという器具を使用して、歯並びを改善することにより下顎前突を治療します。

手術による外科的治療

手術によって下顎の骨を切ることで、人工的に骨折を起こさせて下顎の骨を正しい位置へ移動させます。下顎の骨を移動させた後はプレートやスクリューで固定します。手術後は骨を切った部分の安静のため療養治療が必要となりますが、口から飲食物を摂取することはできます。場合によっては、下顎の骨の突出が著しかったり、上顎にも変形が見られることがあり、その際は上顎の骨を同時に切ることもあります。また、手術には2週間前後の入院が必要となります。

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